アルゼンチンの鳥獣被害がすごいことに

アルゼンチンでイノシシ、鹿が増え、農作物被害も増加しているという。アルゼンチン国内の報道も加熱の一途。被害が出ているのは主に北部の地域で、報道ではミシオネス州、コリエンテス州、チャコ州、エントレ・リオスが挙げられている。

報道によると、コリエンテス州では2020年にヨーロッパイノシシが害獣に認定され狩猟が可能になったが、政府または地域の農村連盟等が管理計画を立てて取り組むというところまではいっていない。その他の地域では狩猟も認められていないという状況のようだ。

メルセデス農村協会会長/コリエンテス農村社会協会書記 カルロス・ロルダン氏のインタビュー「外来動物の侵入が生態系内の不均衡を引き起こしていると警告」(NACIONAL/2024年10月19日)

「損失が発生するため、将来的にはこれ以上植えることはできなくなる」(ELLITORAL/2024年10月28日)

害獣を駆除するための具体的な解決策を求める声が高まっている。(Bichos de campo/2024年10月31日)

「絶対的災害」:2頭の外来動物への深刻な被害により、ある州では思い切った決断が必要(LA NACION/11月1日)

LA NACIONの報道では、30ヘクタールのトウモロコシの畑がイノシシに荒らされた事例や、牧草が食べ尽くされた例とともに、エントレ・リオス農村協会連盟のニカシオ・ティト会長のコメントを紹介している。

Necesitamos una ley que declare plaga a estas especies exóticas, invasoras, destructivas, como el ciervo Axis y el jabalí, por el triple daño que cometen: productivo, ecológico y ambiental. A todas luces, esto no tiene precedente y vamos a estar en una situación de desastre absoluto muy pronto. (これらの外来種を、侵略的、破壊的な害獣として宣言する法律が必要だ。生産的、生態学的、環境的という三重の被害をもたらすからだ。これは明らかに前例のないことであり、私たちは間もなく絶対的な災害の状況に陥るだろう。)

イノシシはヨーロッパからの移入種。鹿は、報道によれば南アジア原産のアクシスジカ(報道では「ciervo axis」。ciervoは鹿) だ。アクシスジカは狩猟・鑑賞目的で導入され、ブエノスアイレスを中心に広まったという。かつては好んで飼育していた牧場もあったようだ。とにかくアクシスジカは群生性が強く、その様子は圧巻。エゾジカも大きな群れを作ることがあるそうだが、さすがにこの規模になることはないのではあるまいか。

アルゼンチン農村連盟のXで紹介されているアクシスジカの群れの様子。

「エントレ・リオス州の野生のアクシジカ。外来種の侵入は生態系を脅かし、農業生産の安全性と持続可能性を損なう。これらのシカはすでに害獣であり、健康、環境、道路上のリスクをもたらします」

Bicho de camposでもものすごい群れの動画を掲載している。

10月中旬には、ミシオネス州、コリエンテス州、チャコ州、エントレ・リオスの地方連合が、国と州に対し外来種に対する管理計画を実施するよう要請したという。前出のティト氏は、捕獲するだけでなく、食用含め利活用するための法整備も必要だと述べている。

※トップ画像は10月18日のBicho de campoの記事のキャプチャ