海外ニュースセレクション 11/22

シカにも寄生する? 病気を媒介する新種のハエ(スペイン)

11月12日、スペインの通信社EFEが、「シカに寄生する新種のハエがアンダルシアの森林地帯で発見される」と報じた。

スペインの研究機関、ドニャーナ生物学ステーション(EBD-CSIC)、リケッチア症および節足動物媒介疾患センター(CRETAV)、スロバキアのプレショフ大学の共同研究によるもので、アンダルシアの森林中に生息する蚊を収集している際に偶然発見されたという。このハエは、現在ヨーロッパで拡大している外来種のハエによく似ているが、遺伝子検査で新種と認定され、「リポテナ・アンダルシエンシス」と命名されたそう。

また、このハエからは人獣共通感染症であるQ熱(コクシエラ症)を引き起こす細菌・コクシエラ・バーネティのDNAも検出されたという。Q熱は日本での発症例は少ないが、重要な人獣共通感染症だと認識されている。

しかし、この種が通常有蹄動物に寄生することから「シカに寄生する」と書かれているが、厳密には「宿主は不明」。同時に体内から発見された2種類の正体不明の細菌についても今後の研究が待たれる。

第 1 回国際狩猟美食会議(スペイン)

スペインのアルマグロで、11月19、20日の2日間に「第 1 回国際狩猟美食会議 (CIGAC) 」が開催された。ワインポータル「Vinos CLM」、「CMM」などが報じている。

正式名称は「Congreso Internacional de Gastronomía Cinegética」(Cinegéticaは狩猟の意)。10月に開設された世界初(と言っている)ジビエ料理専門の学校「VENARI」で開催されるもので、スペイン料理におけるジビエの存在価値を高め、「大きな柱のひとつにすること」が狙いだという。また、家庭でのジビエ消費拡大を促進する意図もある。

ミシュランの星を持つ19名のシェフによるジビエ料理のデモを中心に、カンファレンス、ワークショップなどが開催される。講演には、著名な歴史家、ソムリエ、ジャーナリストなどが登壇し、レベルの高いコンテンツが揃うという。2日目には内分泌学と栄養学の専門家が、ジビエの栄養上の利点を解説する。

シウダーレアル議会、スペインのジビエ肉専門職協会(ASICCAZA。 Asociación Interprofesional de la Carne de Caza)が主催するもので、行政肝いりでジビエに取り組んでいることが分かる。スペインは狩猟が観光の大きなウェイトを占めており、シーズンになるとEU各地からハンターが訪れる。ジビエ料理の振興は国策とも言えるのかもしれない。どんな内容であったのか、レポート記事に期待したい。

スペインでは、同様にジビエを産業のひとつに位置づけようとする動きが盛んで、頻繁に報じられている。参考:農業業界、リェイダで15万3000ユーロを投資し狩猟肉に賭ける 

ジビエにPFAS?(アメリカ)

日本でも汚染が確認されニュースになっているPFAS。アメリカではいち早く認知され、規制も始まっており、いくつかの州では淡水魚に始まって、野生の七面鳥、シカからも検出され、食用禁止の勧告が出されている。先月にはメイン州で、今月に入ってバーモント州でも警戒が呼びかけられた

PFASによる野生動物の汚染はアメリカに限ったことではなく、チェコでも報告されている。PFASにも種類があって、すべてが有害なわけではないが、PFASなくしては現代文明が成り立たないと言われるほど、至るところで使用されている。世界中、どこでPFASによる汚染があってもおかしくはない。日本でも今後、イノシシ、シカのPFAS汚染が問題になるかもしれない。