フタトゲチマダニの遺伝的集団構造を解析、STFSリスク解明に光明

国立環境研究所、森林総合研究所(ともに茨城県つくば市)による研究グループが、日本国内のフタトゲチマダニのDNA解析を行い、遺伝的集団構造の特徴を明らかにした。フタトゲチマダニが主要な媒介者になっている重症熱性血小板減少症候群(SFTS)については依然未解明の部分が多いとされるが、本研究で得られた知見は、感染症を管理するうえでの重要な基盤的情報になるという。

研究グループは15県から得られた235サンプルを解析した結果、38のハプロタイプを検出。さらに系統解析したところ、さらに2グループに大別されることが分かった。フタトゲチマダニには両性生殖系統と単為生殖系統の2系統があることが知られており、この2グループはそれぞれに一致すると考えられるという。

この研究は基盤情報となるもので、さらに詳細な研究が進めば、STFSなどのマダニ媒介感染症の発生動態予測や管理に役立つ可能性があるとしている。

論文は『Experimental and Applied Acarology』94巻に掲載された。

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国立環境研究所 日本国内におけるフタトゲチマダニの遺伝的集団構造:マダニ媒介性感染症管理のための基盤情報