鹿の鳴き声の分析でAI活用

京都先端科学大学 工学部 沖  一雄 教授(兼:東京大学 生産技術研究所・特任教授)と、同大学工学部のサレム イブラヒム サレム 講師らによる研究グループが、AIを利用した音声分析技術によってシカの行動を高精度で観測する技術を開発したと発表した。論文はEcological Infomaticsに掲載された。

この技術は2021年に発表された「複数マイクロフォンによるシカ時空間分布解析手法」に、3種類の深層学習モデルAIを組み合わせたもので、膨大な環境音声データから雄ジカの鳴き声のような特定の音声を短時間で抽出することができるという。

マイクを3点に設置するだけで広範囲・長期にわたる観測が可能なため、環境への人間の影響を抑えられること、また、AIによって短時間でシカの行動実態を把握できるところに特徴がある。2019年に尾瀬国立公園、2021年に三重県多気郡多気町でこの手法でシカの行動を観測したところ、自然環境と都市環境でシカの鳴き声に顕著な違いがあることも明らかになったという。

AIを利用した音声分析技術でシカの行動実態に迫る
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000144315.html

論文
Ensemble deep learning and anomaly detection framework for automatic audio classification: Insights into deer vocalizations
(Ecological Informatics Volume 84, December 2024, 102883)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1574954124004254